『涙!町中が赤いジム、花吹雪、トレーナー仲間が「おばさん」を見送る』

催淚!全鎮紅塔櫻花雨 寶友鼻酸送「阿姨」 | 蘋果日報

アップルデイリー 2018.10.14の記事

 

『涙!町中が赤いジム、花吹雪、トレーナー仲間が「おばさん」を見送る』

 

「おばさん、見て!町中桜が満開だね」台南市佳里区の70代の女性ポケモントレーナーが癌で亡くなった。ポケモン仲間たちは多くのグループと協力し、500名以上が告別式の行われた週末に3時間の「桜吹雪」を降らせて故人を偲んだ。地域の100以上のポケストップからは花が散り、30以上ものジムが「赤色」に変わった。顔を知らない人たちがチームを問わず現地へ向かった。その時間が訪れ、町中は「一面の赤」となり、人々の涙を誘った。参加した人たちは「向こうの世界」の女性がこの光景を見て喜んで欲しいとただ願っていた。

 

この女性は台南市佳里区に住む、「芳芳おばさん」(79歳・本名「陳碧鳳」)。トレーナー名「FengFeng128」からポケモン仲間にそう呼ばれていた。2016年8月にポケモンGOが配信されてすぐ夢中になった。一日じゅう電動バイクに乗り、スマホを両手に持ちあちこちでかけた。昨年11月にすい臓がんが見つかったが、苦しい化学療法を望まず、尊厳ある死を選んだ。残りの日々を、女性はすべてポケモンGOに捧げ、多くの若い友人と知り合った。7月31日にこの世を去るまで、ゲームが一番の精神的な支えとなった。

 

「町中に花吹雪」活動の発起人のひとり、宝友劉さん(38)。

「芳芳おばさんと知り合ったのは、佳里金唐殿でのジムバトルで。第一印象は年配のトレーナーだなぁと。2台スマホを持っているのにゲージ技の出し方をわからないみたいだった。2日連続おばさんと一緒になった時に、ルギアやフリーザーの伝説ポケモンの捕獲を手伝ってから仲良くなった。」

「最近どう?順調?」劉さんは、それからもよく見かけて挨拶したり話したりした。でも突然1か月以上もゲームの中に、もおばさんの姿も見かけなくなった。しばらくしてやっと会ったとき、入院していたと知った。劉さんはその時こう励ました「おばさんは一番お姉さんなんだから、元気を出して。体に気を付けて。またいろいろ教えてくださいね」おばさんもうなずいていた。

しかし、願いも叶わず8月に入ったある日、劉さんがスクーターで女性の家の前を通りがかったとき、祭壇と写真を見て気づいた。「まさか、おばさんが!?」。やはりおばさんだと分かった後はショックで立ち直れなかった。後日家を訪ね、おばさんの孫に「おばさんはポケモンGOしているかな?」と尋ねると、まだ小さな子は無邪気に「ポケモンGOはおばあちゃんのすべてだからね!」と答えたそうだ。

劉さんはこの訃報をライングループで仲間に知らせた。おばさんを知っている者たちは信じられなかった。一番初めにおばさんにゲージ技の出し方を教えたメンバーの悲しみあふれるメッセージは仲間の涙を誘った。みんなは他の方法がないかと考え、おばさんの家周辺のポケストップに追悼の花を散らしたいと考えた。のち佳里町全域に範囲を広げ、いつもは青いジムが多いところを、女性のチームの「赤色」変えようと計画した。「芳芳おばさん」の告別式は8/8に行われるので、8/11(土)に「町中を桜吹雪に」活動を行うことに決定した。現地や近隣の町の5~6のポケモンGOのLineグループ、500~600人の力を集め、当日の午前11時から午後2時までの3時間、100以上ものポケストップに花を散らせる。早めの時間から花びらが舞い始め、早めにジムを攻め予定の時間までに赤色になるようにした。顔も知らない者たちが、ただ一つの目標の為に、チームを分けず協力し、ゲームの世界において不思議なチームワークを発揮した。

 

そして時間となった。町全体で「花吹雪」が舞った。トレーナー仲間がおばさんの家の戸口から外を見たゲームのスクリーンショットを撮った。すべてが「赤い海」「赤いジム」…みんなで力を合わせ感動的な風景となった。ただ一言「おばさん、見て!町中の桜が満開だね」のためだけに…。

 

「向こうの世界にもポケモンがあったら、おばさんはまた遊んでいるかな?」「この花吹雪、おばさんは見てくれたかな?」発起人のひとり、劉さんはこのシンプルな想いだけで、グループと熱心に意見交換し、おばさんの家だけでなく、町中に花吹雪を散らしジムも真っ赤に染めた。ポケモンは迷惑駐車を誘発するというマイナスなイメージだけではなく、多くのプラスの側面も見せてくれるのだ。

 

「芳芳おばさん」の娘はこのことについて、感謝の気持ちでいっぱいだと話す。母親はガンになり長くないとわかってから、葬儀会社や棺桶をどこに置くか等事後の準備をすべて行った後、ようやくまたポケモンGOを再開したという。「こうしているとガンや死のことを忘れられるから」。

 

ポケモンはママにとって心の支え、元気の素だった」と娘は話す。母は自尊心がとても強かったが、死の恐怖や尊厳のない痛みが怖かったと思う。でもポケモンGOをすることによって忘れることができて、達成感もあった。このゲームにとても感謝していた。

 

おばさんの娘は「桜吹雪」の当日、おばさんの孫と2人で形見の2台のスマホを持ち、車で中山公園と砂糖工場へ向かった。花びらが散るポケストップごとに、記念にポケストップスクリーンショットを撮った。こんなに赤に染まった写真が撮れ、本当に目も「真っ赤」になった瞬間だったとのこと。ポケモン仲間たちも孫娘のFacebookに祝福のメッセージを寄せ、感動の輪が広がった。

 

トレーナー仲間 呉さん(29、製造業)は当時の状況について語った。活動の前日情報が流れてきて。赤チームだったので、当日会社が終わってからすぐに現地に向かってジムを落とし始めた。みんなが一心に攻め、すこしずつ赤色に染まっていくのを目にして、とても意義のあることだと感じた。おばさんは電動スクーターに乗ってそばでジム戦をしてるひと、という印象。まだ熱心にやっている人がおおいんだなと思った。

 

参加したトレーナー「超想兎」さん(38歳、自由業)はこのゲームはみんなとっても熱心で、とても思いやりがある。「芳芳おばさん」のことは知らなかったし、チームも違ったけど、「少しでも力になろう!」と思った。この活動はグループでもとても熱心に打ち合わせをしたし、みんなこの活動に参加したいと思った。もともと守っていたジムを譲って、この日は赤色に変えた。

 

発起人の一人、トレーナーは芳芳おばさんを偲ぶ文章の中で、この活動を完璧にまとめた。「桜吹雪はやがて止まる。ジムの色はやがて変わる。しかしこの日みんなが感じたことは、記憶の中に刻まれ、ずっとずっと忘れないだろう」顔も知らない人々が、ゲームのために知り合って縁を結び、ゲームのために集まってとても意義のあることを成し遂げた。

(突発センター曾佳俊/台南報導)

 

芳芳おばさんについて

本名:陳碧鳳

年齢:79

職業:専業主婦

学歴:曾文家商裁縫科卒業

ゲームアカウント:FengFeng128

ゲーム歴:2年あまり

特徴:帽子をかぶり、2台のスマホ持ち、黄色の電動バイクポケモン

プレースタイル:朝3、4時にジムを落としに行き、バスで何度も市郊外のポケモンの巣へも行く。ガンにかかり治療中でもポケモンの夢を見る。

情報源:トレーナー仲間、家族